謎の独立国家ソマリランド

 陸はリアル北斗の拳、海はリアルONE PIECE。R25の書評に興味を持って買ってみた。
 ソマリランドとは、アフリカの角と呼ばれる地域にあり、1991年にソマリアからの独立を宣言(承認した国はないようだが)。ソマリアといえば、アメリカを中心とする国連の平和執行部隊が派遣されたが、手に負えず撤退。沿岸には海賊が跋扈し、自衛隊が派遣されている。ところがソマリランドでは、2回の内戦を経た後(1996年)は、平和を維持。2003年の大統領選挙では、わずか80票差で現職が勝利。一触即発という雰囲気になったが、対立候補は最高裁判所の判定を受け入れたので、暴力行為などは起きなかった。単純に字面だけを追うと、エジプトなんかよりちゃんとした民主主義国家なのだ。選挙制度などは、日本も参考にすべきではないかと感じたくらい。
 それではソマリランドの人々は、平和を愛する牧歌的な人なのかというと、全く違う!まあ望んで平和を達成したのではあるが、平和的というより戦闘的であり、牧歌的とは真逆の人々。作品の中でも、「ソマリ人は傲慢で、いい加減で、約束を守らず、荒っぽい」と書かれているくらいだ。読み進めて浮かんできたのは、北斗の拳でバギーに乗って走り回っている連中か、サイヤ人のようなイメージ。実際、内戦時は、機関銃を設置したピックアップトラック(テクニカル、動画参照)が走り回っていたようで、まさにリアル北斗の拳、またはリアルマッドマックス。
 そんな荒っぽい人々がどうやって内戦を終わらせて平和を達成し、維持してきたのか。著者はソマリランドだけではなく、海賊の拠点があるとされるブントランド、戦国状態の南部ソマリアも取材しており、分厚い本だが読み応えがあった。

 「アフリカでは植民地時代に引かれた国境線を変えてはいけない」というルールがあるとは、初めて知った。まあ理由(分離独立運動が多発して大混乱になる)はわからないではないのだが。この現地の人々の事情を全く無視した国境線は、いまだにアフリカ(中近東も)でトラブルの種になっている。結局、植民地支配は、世界のどこでも決着していないんだなあ。

 ソマリア南部ではイスラム原理主義が勢力を伸ばしていたようで(最近は情勢が変化)、その辺の事情も述べられている。この箇所を読んで感じたのは、やはり少数派というかマイノリティの扱いは、非常に重要だということ。


謎の独立国家ソマリランド
本の雑誌社
高野 秀行
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・テクニカルの動画
 http://youtu.be/AdNNhgV_dfA

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