沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四

著者:夢枕獏
 いよいよ、クライマックスの宴。ただし、宴の後も、空海が日本への帰途につくところまで物語は続く。
 宴の場面は、美しい音楽が聞こえてくるような描写なのだが、終わらせ方がいまひとつ気に入らない。ああいう終わらせ方をするにせよ、黄鶴の登場後に、もうひと盛り上げが欲しかった。前巻からの続きの、黄鶴と高力士の会話の方が、感動した。
 宴の後も、後始末と空海が密教を得るまでの話があるが、少し冗長な印象を受けた。ここは、もう少しあっさりと流しても良かったのではないだろうか。細かいところはフィクションなのだが、空海がたった3ヶ月で伝法灌頂を受けたのは事実らしい。空海というのはとんでもない人物だ。

 そして、話の矛盾点が増えている。パトスに任せて書いているからか、連載期間が長すぎて前の方の内容を覚えていないのか、掲載誌が4回も変わったから編集のチェックが甘いのか。
  • 黄鶴は宴の場面で、玄宗は自分が殺したといっているが、高力士との会話では自分が殺したのではないと言っている。どちらの場面も、偽りを言うのは不自然な状況だ。
  • 黄鶴は他人を操って尸解の術を解くと言っているが、巻ノ二では自力で解けると言っていた。
  • 大猴は白龍の針を喉に受けて倒れたはずなのに、起き上がったときは短剣を引き抜いている。
  • 丹翁=丹龍、ドゥルジ=白龍を説明されて、逸勢が驚く場面がある。しかし、逸勢は巻ノ三で、丹翁については本人から、白龍についても空海から話を聞いている。

 掲載誌の説明を読むと、連載開始から終了まで17年。掲載誌は4回変更になり、途中で連載が1~2年とまったことも何回かある。本になった後にまとめて読んだから面白いと感じたが、雑誌で読んでいたら欲求不満になっていただろうな。
 著者の場合、これが特異ではなく、よくあること。キマイラなんか25年以上経ったが、まだ終わりそうもない。そうは言っても、キマイラの新刊が出たら買ってしまうのだが。

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この記事へのコメント

tko
2007年10月29日 13:36
はじめまして、自分も辻褄が合わないところが気になりました。
・麗華姐さん(白龍の部下)は最初、漢人の妓楼にいたはずで、
牡丹ら胡人と区別されていたはずなのに、途中から胡人という扱いになっていましたね。
本人
2007年10月31日 20:06
コメントありがとうございます。
あれ?となると、入っていけなくなるんですよ。

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