石の花

著者:坂口尚。侵攻編、抵抗編、内乱編、激戦編、解放編の全5巻。
 1941年、ユーゴスラビア(地図のあたり)にドイツが侵攻したところから、話が始まる。主人公のクリロは、攻撃に巻き込まれ、逃げ惑ううちに、チトー率いるパルチザンに加わる。二重スパイとして活動するクリロの兄イワン、イワンの友人でドイツ軍将校マイスナー、クリロの同級生でマイスナーに保護されるフィーが主な登場人物である。(チトーが本名ではないとは、知らなかった。)
 悪を倒してめでたしめでたしみたいな、単純な話ではない。クリロは、次々に矛盾に直面する。多民族国家のユーゴは、ドイツの分断策にはまり、内戦状態になってしまう。もちろん、パルチザンも一枚岩ではない。
 強制収容所の悲惨な状況(実際はこんなものじゃないだろうが)も描かれているが、マイスナー大佐は理想と信念を持った人物として描かれている。これは、ナチスを悪役としてではなく、戦争を容認する考えの象徴としているためではないか。
 極限状況でエゴをむき出しにする大人も多いが、いいことを言う大人も出ている。印象に残った台詞は、
・始めて人を殺し、苦しむクリロに「今の気持ちを大切にしろよ」
・ラスト近く、敵を憎みつつ、なお戦う(殺す)ことに抵抗感を持つクリロに「信じるってことはなてめえを信じるってことなんだよ わかるか? ほっぽり出さねぇってことなんだよ ・・・ お前たちは合点できずにいる 抵抗している それはほっぽり出しちゃいないってことだ」

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